ドボベットフォーム

乾癬の塗り薬で、新しい剤形(フォーム、泡状)のものが、6月から使えるようになりました。ひんやり冷たい感触が、夏向きです。
ボトルを振ってからシューっとスプレーすると、泡状の外用剤がでてきます。指先で伸ばすようにすると、冷たい感触が心地よく、泡がつぶれて軟膏状になっていきます。

シューっと冷たい泡がでてきます
指で伸ばすと軟膏になります

緑膿菌性毛包炎

おうち時間の楽しみとして、長湯をするひとも多いと思いますが、それが誘因となって緑膿菌性毛包炎が発症することがあるので、ご注意を!

赤い斑点がいくつもお腹や太ももあたりに突然でてきて、ビックリして受診される方がいらっしゃいます。斑点の一つ一つをよく見ると、中心に毛穴があって小さい膿疱になっているところもあります。膿疱の細菌検査で緑膿菌が検出されれば、緑膿菌性毛包炎の診断確定です。誘因となった生活習慣を改め、適切な塗り薬を塗ればすみやかに治っていきます。

毛包炎の原因細菌としては、黄色ブドウ球菌の場合が圧倒的に多いと思われます。それに対して緑膿菌は弱毒菌とみなされていますが、塩素にも負けず、お風呂の温度で増殖しやすく、湿ったところを好むので侮れません。お湯に長く浸かることでふやけた皮膚、開いた毛穴、あるいはアカスリなどによる皮膚表面の荒れは、緑膿菌に増殖場所を提供することになります。

さくらひふ科では、最近3年間に延べ12人の患者さんを緑膿菌性毛包炎と診断して治療しました。そのうち、長湯または半身浴がかかわっていた方は4人、ナイロンタオル(アカスリ)がかかわっていた方は4人いました。

さくらひふ科の患者さんの4分の3は女性ですが、緑膿菌性毛包炎12人中11人が女性でした。20歳代3名、30歳代3名、40歳代3名、50歳代3名と年齢は見事にばらけていました。受診月もばらばらで、夏だから多いというわけではなさそうでした。

緑膿菌性毛包炎は、一見、夏場によくある毛虫皮膚炎や虫刺されのような華々しさですが、当然のことながら、皮膚炎や虫刺されの治療薬(ステロイド外用剤)を使うとかえって増えていきますので、しっかり区別する必要があります。

写真:泡たてネット(これで肌を擦らないでくださいね)

マラセチア毛包炎

夏場は、胸などにニキビのような赤いポツポツがでてきて急速に増えることがあります。皮脂を食べて生きているマラセチアという常在菌(真菌)が毛穴のなかで増えたのかもしれません。

マラセチアはカビ(真菌)ですから、高温多湿な環境で増殖します。また、湿疹・皮膚炎の治療にステロイド外用剤を使ったときに、湿疹が治るのと引き換えにマラセチア毛包炎がでてくる場合があります。

首などにできると一見毛虫皮膚炎のようにも見えることがありますが、毛虫皮膚炎で使うステロイド外用剤でマラセチア毛包炎は増えてしまいますので、区別が必要です。

毛虫皮膚炎

初夏から秋にかけて、毛虫皮膚炎の季節です。赤いボツボツが首や腕などにでて、とても痒い皮膚炎です。

直接肌の上で毛虫が這えばボツボツは密集します。必ずしも毛虫が見当たらなくても、毛虫の大量発生している植物の近くに行くだけでも空中に浮遊している毛虫の毒針毛が肌に触れれば、その部位にボツボツがでてきます。

毛虫の毒針毛中の毒成分に対するアレルギー反応と考えられ、症状のでかたには個人差があるようです。

毛虫皮膚炎の原因はというと、チゃ、ツバキ、サザンカなどの葉につくチャドクガの幼虫、サクラ、ウメ、バラ、カキノキなどの葉につくドクガの幼虫などです。ドクガの幼虫はイタドリについていることも多いそうなので、草刈りなどの際にも気をつける必要がありそうです。

シイタケ皮膚炎

梅雨が明けたら、屋外でバーベキューや焼き肉をしたいものですね。シイタケは生焼けでなく、しっかり加熱して食べましょう。でないと、痒い皮膚炎(シイタケ皮膚炎)になるかもしれません。

生焼けシイタケを食べてしばらくするとものすごく痒くなって、掻いた痕が線状紅斑となってしばらく残ります。十分加熱したものなら大丈夫です。

マンゴー皮膚炎

マンゴーの果汁が口もとなどにつくと、かぶれることがあります。マンゴーによるアレルギー性接触皮膚炎です。ウルシにかぶれる人はマンゴーにもかぶれることが多いので要注意です。
皮の近くにかぶれの原因物質が多く含まれていますので、食べ方にも要注意です。小さく切ってお口に運びましょう。